○羽曳野市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例

令和元年6月28日

条例第10号

(趣旨)

第1条 この条例は、羽曳野市が所有する歴史的な価値を有する建築物(以下「対象建築物」という。)の保存及び活用のための措置並びに安全性の向上及び維持を図るための措置に関し、必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この条例における用語の意義は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)の例による。

2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 増築等 建築物の増築、改築、移転若しくは用途の変更又は修繕若しくは模様替をいう。

(2) 保存活用計画 次に掲げる事項を定めた対象建築物の保存及び活用に係る計画をいう。

 当該対象建築物の保存を図りながら、これを活用するために必要な増築等の工事に関する事項

 当該対象建築物の安全性に関する事項

 当該対象建築物の維持管理に関する事項

 その他市長が当該対象建築物の良好な保存及び活用並びに当該対象建築物が存する敷地の周辺の環境の保全を図るために必要と認める事項

(3) 保存建築物 対象建築物のうち、第4条第1項の規定による登録を受けたものをいう。

(4) 保存対象敷地 保存建築物が存する敷地をいう。

(登録の申請)

第3条 対象建築物の所有者は、当該対象建築物の保存及び活用を図るため、法第3条第1項第3号の規定による指定を必要とするときは、市長に対し、当該対象建築物を保存建築物として登録することを申請することができる。

2 前項の規定による申請を行おうとする者は、当該対象建築物に係る保存活用計画を策定し、市長に提出しなければならない。

(対象建築物の登録等)

第4条 市長は、前条第1項の規定による申請を受けた場合において、当該対象建築物の保存及び活用を図るために法第3条第1項第3号の規定による指定を行う必要があり、かつ、当該対象建築物に係る保存活用計画について安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、当該対象建築物を保存建築物登録簿に登録するものとする。

2 市長は、前項の規定による登録をしようとするときは、あらかじめ、羽曳野市建築審査会(羽曳野市建築審査会条例(平成15年羽曳野市条例第35号)第1条の羽曳野市建築審査会をいう。)の意見を聴かなければならない。

3 市長は、第1項の規定による登録をしたときは、当該対象建築物の所有者に通知するものとする。

4 市長は、第1項の規定による登録をしたときは、その旨を告示するとともに、規則で定める事項を表示した図書を備えて、一般の縦覧に供さなければならない。

5 第1項の規定による登録は、前項の規定による告示により、その効力を生じる。

6 市長は、第1項の規定による登録をしたときは、当該保存建築物に係る法第3条第1項第3号の規定による指定を行うための必要な手続をとるものとする。

(登録事項の変更)

第5条 保存建築物の所有者は、保存活用計画の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、市長に対し、変更の登録(以下「変更登録」という。)を申請しなければならない。

2 市長は、前項の規定による申請を受けた場合において、当該申請の内容が当該保存建築物の保存及び活用を図るために必要であり、かつ、変更後の保存活用計画について安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、変更登録をすることができる。

3 市長は、前項の変更登録をしたときは、その旨を告示するとともに、前条第4項の図書に表示する事項について所要の変更をしなければならない。

4 前条第2項第3項第5項及び第6項の規定は、変更登録について準用する。

(登録の抹消)

第6条 市長は、保存建築物について、滅失、毀損その他の事由によりその登録の理由が消滅したと認めるときは、当該保存建築物の登録を抹消しなければならない。

2 市長は、保存建築物について、公益上の理由その他の特別な理由があると認めるときは、その登録を抹消することができる。

3 市長は、前2項の規定により保存建築物の登録を抹消したときは、その旨及びその理由を告示するとともに、当該抹消された保存建築物の所有者に通知するものとする。

4 市長は、第1項又は第2項の規定により保存建築物の登録を抹消したときは、当該抹消された保存建築物に係る法第3条第1項第3号の規定による指定を解除するために必要な手続をとらなければならない。

(増築等の許可等)

第7条 保存対象敷地内において増築等をしようとする者又は保存建築物に関しその形状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめ、市長の許可を受けなければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他規則で定める行為及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。

2 市長は、前項の許可の申請があった場合において、当該申請に係る行為が、保存活用計画の内容と相違するときは、同項の許可をしてはならない。

3 市長は、第1項の許可の申請があった場合において、当該保存建築物の保存のために必要があると認めるときは、許可に必要な条件を付することができる。

4 第1項の許可は、当該許可に係る工事が法第18条第2項(法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による通知を要するものであるときは、当該通知をしようとする日までに受けなければならない。

5 市長は、第1項の規定による許可をしたときは、当該申請をした者に通知するものとする。

6 第1項の許可に係る工事は、当該許可を受けた後でなければ、これを施工してはならない。

(完了検査)

第8条 前条第1項の許可を受けた者は、当該許可に係る工事を完了したときは、規則で定めるところにより、市長に検査を申請しなければならない。

2 前項の規定による申請は、同項の工事が完了した日から4日以内に市長に到達するようにしなければならない。ただし、申請をしなかったことについて規則で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3 前項ただし書の場合における検査の申請は、その理由がやんだ日から4日以内に市長に到達するようにしなければならない。

4 市長は、第1項の規定による申請があったときは、当該申請を受け付けた日から7日以内に、当該申請に係る保存建築物が当該許可の内容に適合しているかどうかを検査しなければならない。

5 市長は、前項の規定による検査をした場合において、同項の保存建築物が当該許可の内容に適合していることを認めたときは、その旨を第1項の規定による申請をした者に通知するものとする。

(管理義務等)

第9条 保存建築物の所有者は、保存活用計画に従って、当該保存建築物の保存及び活用を図らなければならない。

2 保存建築物の所有者は、当該保存建築物の管理に関する責任者(以下「保存管理責任者」という。)を選任することができる。

3 前項の規定により保存管理責任者を選任したときは、保存建築物の所有者は、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。保存管理責任者を解任したときも、同様とする。

4 第1項の規定は、保存管理責任者について準用する。

5 保存管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。

(維持管理の報告等)

第10条 保存建築物の所有者又は保存管理責任者は、当該保存建築物について、保存活用計画の維持管理に関する事項に従い、定期的にその状況の調査を行い、その結果を市長に報告しなければならない。

2 市長は、前項に定めるもののほか、必要があると認めるときは、保存建築物の所有者又は保存管理責任者に対し、当該保存建築物の現状又は管理若しくは工事の状況その他必要な事項について報告又は資料の提出を求めることができる。

(管理に関する助言及び命令)

第11条 市長は、保存建築物の所有者又は保存管理責任者に対し、当該保存建築物を保存するために必要な助言を行うことができる。

2 市長は、保存建築物の構造若しくは建築設備又は保存対象敷地の管理が適当でないため、当該保存建築物の損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば保安上著しく危険な状態となり、又は衛生上著しく有害となるおそれがあると認める場合においては、当該保存建築物若しくは当該保存対象敷地の所有者又は保存管理責任者に対し、相当の猶予期限を付けて、管理の方法の改善その他管理に関し必要な措置をとることを命じることができる。

(監督処分)

第12条 市長は、この条例の規定又は第7条第3項の条件に違反した保存建築物又は保存対象敷地内の保存建築物以外の建築物(以下「保存建築物等」という。)の建築主、当該保存建築物等に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。次項において同じ。)若しくは現場管理者又は当該保存建築物等若しくは保存対象敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、工事の停止を命じ、又は相当の猶予期限を付けて、建築物の外観の変更、除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他違反を是正するために必要な措置をとることを命じることができる。

2 市長は、この条例の規定又は第7条第3項の条件に違反することが明らかな増築等の工事中の保存建築物等については、緊急の必要があって羽曳野市行政手続条例(平成13年羽曳野市条例第27号)第13条第1項に規定する意見陳述のための手続をとることができない場合に限り、当該手続によらないで、当該保存建築物等の建築主又は当該工事の請負人若しくは現場管理者に対し、当該工事の停止を命じることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対し、当該工事に係る作業の停止を命じることができる。

(建築物の設計及び工事監理等)

第13条 第7条第1項の許可を受けた保存建築物の工事のうち、建築士法(昭和25年法律第202号)第3条第1項(同条第2項の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)、第3条の2第1項(同条第2項において準用する同法第3条第2項の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)又は第3条の3第1項(同条第2項において準用する同法第3条第2項の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)に規定する建築物の工事は、それぞれ当該各条に規定する建築士の設計によらなければ、することができない。

2 第7条第1項の許可を受けた保存建築物の工事のうち、建築士法第2条第7項に規定する構造設計図書による同法第20条の2第1項の建築物の工事は、構造設計一級建築士(同法第10条の2の2第4項に規定する構造設計一級建築士をいう。以下同じ。)の構造設計(同法第2条第7項に規定する構造設計をいう。以下同じ。)又は当該保存建築物が構造関係規定(同法第20条の2第2項に規定する構造関係規定をいう。)に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によらなければ、することができない。

3 第7条第1項の許可を受けた保存建築物の建築主は、第1項に規定する工事をする場合においては、それぞれ建築士法第3条第1項、第3条の2第1項又は第3条の3第1項に規定する建築士である工事監理者を定めなければならない。

4 第10条第1項による調査を行う者については、建築士法第3条第1項、第3条の2第1項又は第3条の3第1項に規定する建築士でなければならない。

(関係行政機関の長の意見の聴取)

第14条 市長は、第4条第1項の規定による登録又は第5条第2項の規定による変更登録をしようとする場合においては、関係行政機関の長に意見を聴くことができる。

(委任)

第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和元年7月1日から施行する。

(特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和36年羽曳野市条例第188号)の一部を次のように改正する。

[次のよう]略

(羽曳野市建築審査会条例の一部改正)

3 羽曳野市建築審査会条例の一部を次のように改正する。

[次のよう]略

羽曳野市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例

令和元年6月28日 条例第10号

(令和元年7月1日施行)