塚穴古墳

更新日:2024年01月19日

所在地:羽曳野市はびきの3丁目  

 塚穴古墳は内部に切り石造りの横穴式石室がある、7世紀前半に築造された1辺54メートルの大型の方墳です。現在は宮内庁により来目皇子埴生崗上墓(くめのみこはにゅうのおかのうえのはか)として治定、管理されていますが、 平成17年度以来行われた周辺部の発掘調査で、堀の外側に築かれた大規模な土手が、墳丘を取り囲んでいることがわかりました。

 古墳の南側の土手は幅16メートル、高さ2.5メートルで上下2段に築かれ、一部は自然の地形を削り出しているものの、かなりの部分が人為的な盛土によって造られています。その際には、正確な測量によって丁張りが行われ、地表面から切り取った差し渡し30センチメートルほどの土の塊を要所に使い、砂や粘土質の土を交互に水平を保って積み重ねるなど、高い土木技術が駆使されています。

 古墳北側の土手は38メートル、高さ3メートルで、むしろ築山と呼ぶ方がふさわしいつくりです。南の土手とは異なり、上から土を投入しながらくり返し斜面を整える工法をとっていますが、やはり質に応じて土が使い分けられ、計画的に手慣れた作業が行われています。

 このように塚穴古墳の周囲は、北と東西を背景の丘のように高く幅の広い土手が、また、正面にあたる南では、直線的で人工的な外観の土手が整備されています。130メートル四方におよぶ広大な範囲もさることながら、墳丘と堀、土手からなる墓域の構造には、墳墓を護り、威容を高める新しい思想がうかがわれます。

 設計や築造技術の上で、飛鳥時代の古墳の手本とも言える塚穴古墳は、被葬者が推古天皇11(603)年に亡くなり、後に河内の埴生の岡の上に葬られた来目皇子と推定されることとあいまって、極めて重要な存在であると言えます。

南堤検出状況

南堤検出状況

盛土状況

盛土状況

この記事に関するお問い合わせ先

羽曳野市教育委員会事務局
生涯学習部 文化財・世界遺産室
大阪府羽曳野市誉田4丁目1番1号
電話番号:072-958-1111(代表)
ファックス番号:072-947-3633

メールフォームによるお問い合わせ